同一車線内での追抜き

車線内の左側から追い抜くのは取り締まりの対象になるか

車ではほとんど見かけせんが、バイクではいわゆる「すり抜け」走行をしているライダーを時折見かけます。
すり抜け走行とは、前方を走っている車を同一車線内で追い抜く行為のことです。
または、信号待ちなどで停車している車列の左脇をすり抜けて走行することも含まれます。
この「すり抜け」走行は危険な走行に見えることもありますが、取り締まりの対象になるのでしょうか?

日本の法律では、車線を変更して前方を走る車の前に出る「追い越し」に関しては、細かな規定があります。
しかし、同一車線内での「すり抜け」もしくは「追い抜き」に関しては、はっきりとした規定がありません。
そのため、左側からすり抜け行為をしても取り締まり対象ではないと考えるライダーもいるようです。

しかし、それは間違いです。
同一車線内であっても、前方を走る車、もしくは信号待ちなどで停車している車の前に出る行為は一種の「追い越し」と見なされ、追い抜き方によっては違反行為となることがあります。
もしも追い越し違反として取り締まり対象になった場合、違反点数が2点に加え罰金の支払いが課せられます。
罰金は二輪車であれば7000円で、原動機付自転車であれば6000円となっています。

事故を起こした場合は重罪に問われるかもしれないので注意すべき

すり抜け行為で特に注意すべきなのが、左側からの追い抜きです。
これは走行中の車を同一車線内の左側から、もしくは信号待ちの車列の左側車線外から追い抜きをする行為のことです。
もしも左側から追い抜き行為をして、それが原因で事故につながった場合には重罪になる可能性があります。

道路交通法では、「危険運転致死傷罪」に該当するような事故を起こした場合に重い刑罰が与えられます。
左側からの追い抜き行為は「進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為」として扱われることがあります。
もしも左側からの追い抜きが原因で事故が起き、前方の車を運転する人が亡くなるような事態になった場合、状況にもよりますが、20年以下、もしくは15年以下の懲役が科されることもあり得るのです。

さらに道路交通法では、横断歩道などの手前30メートル以内での追い越しが明確に禁止されています。
通常、信号待ちなどで車列ができる場所には横断歩道があります。
つまり車列の横をすり抜ける行為は、この法律に違反する可能性もあるわけです。
こういったタイミングで無茶な追い抜きをし、歩行者など巻き込む事故を起こした場合、厳しく罰せられる可能性があります。

「すり抜け」や「追い抜き」に関しては、道路交通法にははっきりとした規定がありません。
ですからそのような行為をしても問題ない、というわけではなく、逆に状況によっては大きな違反行為とみなされることがあることを覚えておきましょう。
違反かどうかに関わらず、マナーを守って安全運転することが重要です。